第1章「変わらない日常」 -目覚めて-

小鳥のさえずりが聞こえる。窓からはカーテン越しに日差しが入る。
「また、あの夢か・・・」
もう何回見たかわからない。
毎日というわけではないが、よくこんな夢を見る。
そして、この夢を見た日は決まって目元が濡れている。
僕、冬月 静(ふゆつき せい)は、まだあの時の事を引きずっているらしい・・・
「学校行かなくちゃ。」
夢見が悪かったのかあまり行く気はしないのだがそうも言っていられない。
僕は、星法学園付属の高等部の2年生だ。
星法学園は中学から大学までエスカレータ式で立地条件もよく人気の学校である。
もっとも、僕はもともとこの街に住んでいたわけではないので高等部からの編入となったのだが。
そもそも僕がこの土地に来たのは中学卒業後、親の転勤がきっかけだ。
転勤の話自体はもっと前から聞いていたので高校は転勤先の街にあり、母の親友が学園長をやっているらしく母が進めてきたので星法学園を受けた。
正直、学校なんてどこでもよかったのだけれど。
その当時はそんな事さえ考えている余裕はなかったのだ・・・


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